その瞬間はあっさりで。 当たり前のように過ぎ去ってしまったけど あたしの胸には、 そのときの表情とか感情とか しっかりおさめとこうって思ったんだ。 「虹、もうちょっとだから」 そう優しくあたしの前から降ってきた声。 「どこに向かってるの?」 「…」 さっきから聞いているのに答えてくれない。