廊下の一番端に来たとこで、
パッと名倉君は掴んでいた腕を離した。

「あの...えっと、何...ですかね?」

男子に喋るなんて何年ぶりだろう。
久しぶりすぎて、声が震えていた。

「別に。」

(え、じゃあ何で連れてきたんだよ!?)
一人考えていると、

「じゃあ一言言うけどお前さ、
見ててムカつくんだよね。イライラする。」

「え。」

あまりのストレートな毒舌にびっくりした。

あれ...???

名倉君ってこんな人だったっけ?
普段は穏やかで、
女子には騒がれてたけど...

「猫かぶり...?」

「はぁ?」 

「えっ、いや、その」
 
つい、思ったことを口に出してしまった。

その後の名倉君の一言は、
穏やかな名倉君では無く、
誰も知らない名倉君を感じさせるようだった。

「お前、放課後資料室来い」

怒りに満ちた声。
やだ、行きたくない、行きたくない。

「来なかったらどうなるかわかってるよな?」

「...はい......。」