根本さんの大きな手が、わたしの頬に触れる。

「俺じゃ、つーの傷を癒すことができないの?」

眼鏡越しの瞳が、わたしを捕える。

大きな手が、わたしを包み込む。

「つーのことを知りたい。

つーのことをわかってあげたい。

つーのことを理解したい」

根本さんの唇が動いた。

「――つーからして見れば、それは迷惑なの?」

そう言った声は、震えていた。

気がつけば、頬に触れているその手をつかんでいた。

ギュッと、その手を握りしめる。

「――根本さん…」