ワイン恋物語

「俺はどうしろって言うの?」

悲しそうに根本さんが聞いた。

「泣いている子を犯すほど、俺は優しくないんだよ…」

「そんな泣いて…」

頬に手を当てると、濡れていた。

「同情で泣いている子を犯すほど、俺は悪人じゃない。

俺は最低じゃない」

「最低なんて…」

「俺じゃ」

言いかけたわたしを根本さんがさえぎった。

「俺じゃ、ダメなの?」

続けて、根本さんが言った。

「俺じゃ、つーが抱えているものを理解することができないの?」