ワイン恋物語

同時に、わたしの唇に温かいぬくもりが触れた。

最低なのは、わかってる。

根本さんを利用して、最低なことをしようとしているのはわかっている。

元カレを忘れたいがために、根本さんを利用して…。

「――つー!」

強く呼ぶ根本さんのその声に目を開けた。

天井と根本さんの顔が視界に入った。

いつの間に、押し倒されていたらしい。

「――やっぱり、できない…」

そう言って根本さんはわたしから離れた。

「どうして、ですか?」

わたしは躰を起こすと、根本さんに尋ねた。