ワイン恋物語

「同情なんかじゃないよ…」

眼鏡越しにわたしを見つめている彼の瞳は、悲しそうだった。

ゆっくりと、わたしの横に腰を下ろした。

「同情じゃなきゃ、つーのためにこんなことをしないよ」

わたしの肩までの髪を払うと、彼はそこに手を置いた。

じっと、見つめる彼の瞳にはわたしが映っている。

「――つぐみ…」

消え入りそうな声で、わたしの名前を呼んだ。

初めて、あだ名じゃなくてちゃんと呼んでくれた。

それだけのことなのに、わたしの心臓はドキッと鳴った。

根本さんが好き。

根本さんが大好き。

わたしは、目を閉じた。