ワイン恋物語

「ああ、また泣いてる」

根本さんの指が頬に触れて、涙をぬぐった。

わたし、いつの間に泣いていたのだろう?

「――根本さん…」

唇が動いた。

「――わたしを、抱いてくれますか…?」


自分でも、どうしてあんなことを言ったのかわからない。

「つー、いいの?」

バスローブ姿の根本さんがバスタオルで髪をふきながらバスルームから出てきた。

先に入ったわたしは、同じバスローブ姿でダブルベッドのうえに座って彼を待っていた。

近くにあったラブホテルで部屋をとった。

「言ったのは、わたしです」

わたしは根本さんに向かって微笑んで見せた。