ワイン恋物語

わたしは泣いてばかりだ。

花婿に逃げられた時は、泣かなかったのにな。

どうして、今は泣いてばかりいるんだろう?

「――もう、訳がわかんない…」

「何が?」

声をかけられて視線を向けると、
「――あっ…」

根本さんだった。

仕事に戻ったんじゃないの?

「つー、大丈夫かなって」

そう言った根本さんに、
「えっ…」

わたしは聞き返した。

大丈夫って…わたしの、何が?

そう思っていたら、根本さんの手がわたしの頬に触れた。