ワイン恋物語

「――ううっ…」

情けなくて、涙が出てきた。

わたし、何でいつもこうなんだろう。

みんなの中心にいていつも笑っているお姉ちゃんとは対照的に、わたしは周りからいつも遠回しにされる。

“暗い”。

“何を考えているのかわからない”。

そう、陰口をたたかれるのは当たり前だった。

「――もう、ヤだ…」

出てくる涙をハンカチで押えた。

「――あっ…」

そのハンカチが、返そうと思っていた根本さんのハンカチだったことに気づいた。

また洗って、アイロンをかけなきゃ。

そう思ったわたしだったけど、彼のハンカチを見たらますます涙腺がゆるんで行く。