ワイン恋物語

えっ、何を言ったんですか…?

ポカーンと口を開けていたら、根本さんがわたしのところに戻ってきた。

「大丈夫、もうこないよ」

「あ、はい…」

わたしは首を縦に振ってうなずくことしかできなかった。

一体何を言ったんだろう?

彼女を暗い顔にさせるくらいだから、何かを言ったんだよね?

「もう仕事に戻ろうか?」

根本さんが言った。

「…そうですね」

わたしは首を縦に振ってうなずいた。

「じゃ」

お互い、自分の仕事へと戻った。

また、ハンカチを渡せなかったな。