ワイン恋物語

根本さんはチラリと、そんな彼女を一瞥した。

「つー、彼女との縁を切りたいんだったらいい?」

その直後に、根本さんはそんなことを聞いてきた。

縁を切りたい?

「別に、いいですけど…」

どうせ、知らない人なんだから。

わたしが首を縦に振ってうなずいたことを確認すると、根本さんは彼女のところへ歩み寄った。

「ちょっと…」

根本さんは彼女に話しかけた。

話している内容は聞こえなかったけど、彼女の顔がだんだんと暗くなって行ったのがわかった。

「――すみませんでした…」

暗い顔の彼女は小さな声で謝ると、どこかへ行ってしまった。