ワイン恋物語

「ちょっと、つぐみ!

つぐみー!」

デカい声でうるさいなあ。

恥ずかしくないのかよ。

そう思っていたら、
「あ、つー」

根本さんに会った。

「彼女、知り合いじゃないの?」

大きな声でまだわたしの名前を呼んでいる彼女とわたしを見て、根本さんは不思議そうな顔をした。

「人違いだと思います。

わたし、彼女のこと知りませんから」

「そう、だけど…大丈夫?」

「何がですか?」

根本さんの質問に、いつもの調子で答えたつもりだった。