ワイン恋物語

2年前の出来事のはずなのに、今日の出来事とひどく重なった。

わたしは奪われた側で、今日の立場で言ったら金づちで頭を殴られた新婦の方だ。

「人魚姫も、そんな気持ちだったんだろうね」

呟くように、根本さんがそんなことを言った。

「溺れていた王子様を助けたのは自分…なのに、その王子様は隣の国のお姫様が助けてくれたと思って、婚約することになった。

自分だって言いたいのに声が出ないから、王子様に言うこともできない。

子供の頃はそんな人魚姫をかわいそうだって思ってた。

だけどこうして大人になって、酸いも甘いを噛み分けて見ると…人魚姫はこれでよかったんじゃないかって思う」

根本さんは言った。