「ありがとう」

わたしは椅子に腰を下ろすと、桃が作った朝ご飯を食べ始めた。

うん、美味しい。

「何か変な感じだなあ。

今日からつぐみちゃんが働きに行くなんて」

わたしの向かいの椅子に腰を下ろすと、桃が言った。

「今の今までずっと家にいたからね」

お箸で鮭をつつきながら、わたしは言い返した。


お姉ちゃんがわたしに仕事を持ちかけてきたのは、去年の7月だった。

「来年の4月に定年退職する人がいてね」

お姉ちゃんは雑誌の編集者として働いている。