ワイン恋物語

根本さんはわたしの手を引いていた。

男の人の手は、どうして大きいのだろう?

「警察だ!

やめなさい!」

そんなことを考えていたら、バタバタと走る足音と怒鳴り声が耳に入る。

「しばらく、ここで避難していよう」

根本さんが立ち止まったと思ったら、ドアの開く音がした。

ベストの隙間から視線を向けると、ワイン倉庫だった。

「待ってて、すぐに椅子と飲み物を用意してくるから」

入ったとたん、根本さんの手がわたしから離れた。