ワイン恋物語

グラスを傾けたけど、ぶとうジュースはもうなかった。

「つー、言うことは?」

「あっ、えーっ…」

言うことって、何を言えばいいんですか?

戸惑っているわたしに、根本さんの顔が迫ってきた。

ちょっと、近い!

近過ぎます!

わたしは思わず目をそらした。

端正な顔立ちを間近で見ることになれていない。

「いいよ…」

急に下がった声のトーンに視線を向けると、
「どーせ俺はオッチャンですよー」

根本さんはいじけていた。

あ、何かかわいいかも…。