ワイン恋物語

「充分解れました」

わたしは言った。

「えっ、そう」

根本さんは口を閉じた。

もう1度ぶとうジュースを1口飲むと、甘い味がした。

「ワインセラーに入ったことも秘密にします」

そう言ったわたしに、
「あ、それは秘密にしなくていいから」

根本さんが言い返した。

えっ、それはどう言う意味なんですか?

根本さんはベストのポケットから何かを取り出して、わたしにそれを見せてきた。

「…ソムリエ?」

免許証みたいなそれには、根本さんの名前と顔写真があった。

「ワインソムリエ、ちなみに1級」

根本さんが言った。

何かすごい…。