私は先輩に対する思いをずっと引きずっていた。
部活に出ても姿はもー見れない。
毎日ただなんとなく過ごして、マネージャーの仕事も適当にこなしていた。
「やよ、もー先輩のコトはあきらめなよ。たちうちできないって。」
「うん…。由美のゆーコトもわかるんだけど、あきらめれない。ホントに好きだもん。」
「マジなんだ。まー頑張りなヨ!」
それから時々智里と一緒に学校の近くの図書館に通うよーになった。
智里の友達がたまっていたからだった。
メンバーの中に同学年の建築科の男子と馬庭先輩と同じクラスの伊東先輩もいた。人見知りの私は初対面ばかりで緊張していた。
「初めまして。」
この一言で精一杯だった。続けて智里が紹介してくれた。
「電気科の弥生。やよ!よろしくネー☆」
「よろしく!」
みんな明るくて楽しい雰囲気で私はなんだかホッとした。
一人の男子に話しかけられた。建築科の八代君。長椅子に私を呼びよせて隣に座らされた。
「前から話したいと思ってた。オリ合宿の時すれ違ったの知らないっしょ?」
「う…うん!気付かなかった!ゴメンネ…。私、人見知りだから。」
ドキッ。初めて話す人とこんな至近距離で顔が見られない。
「かわいーネ。」
「そ…そんなコトない!」
中学までそんなコト言われたコトがなかった私には、突然すぎて心臓バクバクだった。
それにしてもいー匂い。伊東先輩からもいー匂い。
「やよちゃん何ヤバイ顔してんの~?」
伊東先輩にマヌケ面を見られた。
「伊東さん、いー匂いですよネ。超好きかも☆」
「それでヤバ顔だったのか?お前変態だな(笑)」
へ…変態?超ショック(泣)
周りのみんなにも爆笑されたけどなんだか楽しかった。
「やよ、馬庭先輩のコトあきらめられそー?」
帰り道、智里は何気なく気にかけてくれていた。
「うん。ありがとー。もー部活にもこないし顔合わせなくてすむから大丈夫だヨ!まだ好きだけど、新しい仲間もできたし楽しいもん!!」
私はやすらぎを求めて週3回部活をサボっては図書館に行くよーになった。