悩みながら一人自転車をひいて歩いて帰っていった。
気付くとあたりは真っ暗。
久しぶりに一人で帰ってると、今までの出来事が走馬灯のよーに駆け巡る。
クリスマス前にずっくんから告られて、付き合って。
桂のコトもちゃんと吹っ切れて、また一から始めよーと決意した。
ずっくんは優しくて顔もかわいくてルックスにも問題なくて、私は幸せ者だった。
でも何かポッカリとあく穴が心の中にある。
私がこんなふーに感じていたのを、ずっくんは気付いていたのかもしれない。
まさか浜田先輩とのコトを知ってるわけもない。
豊田君が原因?
でもその後は仲良かったし…。
何度も何度も考えたけどちっともわからない。
好きなコが他にできた?

その日はなかなか家に帰れなかった。
何を思ったのか帰り道にコンビニに寄った。
公衆電話を手にとってボタンを押した。
相手は……浜田先輩。
声を聞いた瞬間、おさまってたはずの涙が一気に溢れてきた。
「どーした?!大丈夫?!何があったの?」
「…………ずっくんと別れました…。もーどーしたらいーかわかんない。…先輩きてください!」
「えー?!別れた?!!マジで?!は?!なんでぇ?まーとにかく行くから!」

15分後、浜田先輩はすっ飛んできてくれた。
汗だくで、髪の毛もボサボサになりながら急いできてくれた。
そんな姿が心の中に響いてウレシくて、悲しくていろんな思いが交差して何にも言えなかった。

真っ暗な帰り道を、私を支えて自転車をひきながら、浜田先輩はゆっくり送ってくれた。
ウチの前には周りを木で覆い尽くした公園があった。
そこのベンチは私達がいつも帰り際に話を語らう場所でもあった。
そこに座らされて私はしばらくボーっとしていた。
「はい。あったまるヨ。」
そっと差し出された手には、缶コーヒー。
「…………ありがとーございます。」
「大丈夫だって!あいつも嫌いって言ってた訳じゃないんだろ?しばらくしたらまたカッコイイ彼氏ができるって!…俺みたいに☆」
思わず吹き出してしまった。
慰め方が超ヘタ。
でも私にはこんなに思ってくれてるヒトがいる。
それだけでもよかったカナ。
うん。絶対そーだヨ。
普通は一人寂しく泣き寝入りするのが当たり前。
私は幸せ者だ。