なんだろー…。
楽しいはずの毎日がどこかポッカリと穴が開いてるよーな感覚だった。
ずっくんのコトはスゴク好きなのに。


新学期が始まって、いつもの毎日になった。
ある夜、浜田先輩から突然電話がかかってきた。
「冬休みどーだった?図川とどっかいった?」
「別に特別ないですけど…何気にさぐり入れてこないで下さい!」
「あはははは!わかった?ゴメン、ゴメン。」
久しぶりの声。
私が気持ち的にゆれるといつもタイミングよく助けにきてくれる。
そーだったネ。
いつも何でも話してたもんネ。
ある意味、先輩は恋人以上かも。
「あのさぁ、映画のチケットあるけどいらない?俺ツレと行くはずだったんだけど、そいつがいけんくなったからさぁー。」
「あ、そーなんですか。…映画かぁ……じゃあ一緒にいきます?二人で。」
「は?!俺と二人で?!……まぁ、弥生ちゃんがいーなら…。」
!?!?
何でこんなコト言っちゃったんだろー!
正直自分の発言にはビックリしたけど、映画ぐらい別にいーよネ。
この時ずっくんのコトは全然頭になかった。
彼氏はずっくんだけど、このまま浜田先輩と縁が切れるのが怖かった。
別に浮気するわけじゃないし、軽い気持ちだった。
タダで映画見れるし。


逢引(?)当日。
市外の映画館に電車にゆられながら行った。
なぜか胸騒ぎがして、着いたと同時に先輩にケータイを借りて、よりによってずっくんに電話した。
「もしもし?これ誰のケータイ?」
「あ…先輩の!今一緒に映画見に来てるんだ!ずっくんはなにしてた?」
「別に家にいるヨ。映画楽しんどいで。」
別の男といるのに、ずっくんにさぐりいれてる臆病な私。
こんな市外にいるわけないのに。
でもなんか後ろめたい…。
一緒にプリクラとったわけじゃないのに、映画見てカラオケしただけなのに。
…もーそれで十分浮気?
私はそーは思わない。
友達と同じコトしただけだもん。


『アルマゲドン』
まさにカップルで見るには絶好のストーリー。
ずっくんとの電話中、浜田先輩はその場を外してくれた。
やっぱりやさしいネ。