「久しぶり。元気?」
「…はい。元気です…。」
「今日はイヴだネ。どっかいった?」
「あ…はい。友達と…映画に。」
「ウソつかんくていーヨ。今日駅で図川と一緒にいるの見たし。」
「…あ…はい。でも二人だけじゃないです。」
「そんな気ぃ使わんくていーって。よかったじゃん。」
はぁ、バレてる。
私は結局何も言えず、電話を切った。


冬休みに入るとバイトとデートの繰り返しだった。
ずっくんちは兄弟も多いし、お母さんもいーヒトだし、スゴクなごんだ。
部屋で隣に座ってきたずっくんはなんか緊張してた。
軽い咳払いの後、肩をくんできた。
長い沈黙の後、
「ねぇ…キスしていい?」
「?!え!ダ、ダメ!」
まだ付き合って間もないのに私は戸惑った。
「じゃあ、あと何分後にする?♪」
なんか、うかれてるし。かわいーなぁ、もう!
「もー…いーヨ。」
ゆっくりとずっくんの顔が近付いてきた。
唇が重なった瞬間、私は心臓バクバクで、目を閉じるどころかパチパチさせちゃった。
唇が離れると、お互い顔を真っ赤にさせて無言になってしまった。
気持ちが高ぶった私達はまたキス。
2度目のキスにして、大人の口づけをしちゃった☆
15歳の冬。
人生初のキスは私的に失敗カナ。
その日から、帰り際に必ずキスしてくれた。
髪染めてもらったり、カラオケいったり、スゴク楽しい日々だった。
一番うれしかったのは、バイト先でまっててくれたコト。
「あれが弥生ちゃんの彼氏?かわいー顔だネ☆」
バイト先のマネージャーに言われて、ついニヤケちゃった。
ふっと桂のコトが浮かんだ。
桂はドタキャンして、私のもとから去っていったヒト。
あの時のコトは私のなかで忘れられない出来事だった。
私は今、幸せだよネ。