皆藤くんが私の隣に座った。
私は笑顔を見せる。
「よろしくね。皆藤くん。
わからないこととかなんでも…」
聞いてねと続けようとしたら
「綾女」
ふいにそう呼ばれた。
「えっ?」
「まさか俺のこと、覚えてない?」
皆藤くんは寂しそうに私を見る。
優しい笑顔。
長身で整った顔立ち。
黒渕メガネをかけた
紳士的な面持ち。
極めつけは
女の子みたいな名前…
「り…お?理央?」
「ただいま、綾女。」
思い出した。
皆藤理央。
私の昔の幼なじみ。
小学6年生のとき
理央のお父さんの理巧さんの仕事の都合で
アメリカに行ってしまった。
別れの日
理央と別れたくないって
小6なのにえんえん泣いたっけ。
そしたら理央は
いつかまた必ず会えるからって
大人っぽい笑顔を見せてくれた。
あれから5年。
高校2年生になった私たち。
理央は小6よりまたさらに
大人なイケメン男子になっていた。
「綾女がこんなにランク高い高校に行ってたとはびっくりだね。」
「なによ!
中学の時、勉強がんばったもん。」
「頑張りすぎ。
この学校で毎回上位キープしてるらしいじゃん
あの綾女が…人生何が起こるかわからないね」
理央はくすくすと笑った。
「あとでさ学校案内とかしよっか?
あと、お昼も一緒に食べようよ。」
「いいよ。
また綾女の傍にいれるなんて光栄だね。」
嬉しかった。
理央がかえってきた。
「おかえり、理央。」
私はそういって理央に微笑みかけた。
そんな私たちの姿を
寂しげに見つめてる人がいたなんて
私は知らなかった。

