高校3年生になって

1ヶ月が過ぎようとしていた。

薫のおかげで

私はB組でちゃんと友達ができた。

「詩織、おっはよー!」

朝から元気よく

私に飛び付いてきたのは

「おはよ。柚音。」

彼女の名前は悠 柚音(はるかゆずね)。

明るくて可愛くて

茶色い

肩まで伸びる

サラサラな髪が

印象的。

綾女を明るくした感じ。

どうしても綾女と比較してしまう自分が

たまに嫌になる。

「ゆず。詩織。はよ。」

クールな声が後ろからした。

「おっはよー。雪芽!」

柚音が雪芽に飛びついた。

「朝から暑苦しいわね、柚音は」

黒髪のショートカット。

カッコいいクールな性格の

私のもう一人の友達、希崎雪芽(きざきゆきめ)

私は二人のおかげで

学校に来るのが楽しくなった。

もちろん…

「おはよう。詩織。

それに悠と希崎も。」

薫のおかげでもあるよ。

「おはよう。薫。」

「おっはよー。咲田くん。

今日もかっこいいね!」

キラキラした子供みたいな

笑みを浮かべる柚音。

かっこいいね!

その単語に

胸がズキッと痛んだ。

「おはよ。咲田。

ゆずのことはほっといても大丈夫だよ。

いつだってあんな調子だからな。」

そういって楽しそうに笑う雪芽の言葉に

少しだけホットしている自分がいた。

柚音は誰にだって

あんな笑顔をみせる。

薫にだけじゃない

そう思うことに

とてつもなくホットしている自分がいる。

そう思うのは

柚音の可愛い笑顔に勝てる気がしないから。

えっ?

思わず自分の考えに疑問を感じた。

勝てる気がしない?

何に勝つの?

柚音に?

素直な自分が1番怖い。

「わかってるよ。

でも、なんか










悠を見ると懐かしくなるんだ。」

何かが激しく割れる音がした。

苦しい、苦しい。

息ができないよ。

わかった、わかったよ。

わかったから。

私は嫉妬してるんだ。

柚音に嫉妬してるんじゃない。

柚音ににている私の親友

綾女に嫉妬してるんだ。

薫が懐かしいのは

柚音にじゃない。

柚音に似ている

元カノの綾女を

思い出して懐かしいって

言ってるんだ。

ねぇ、薫。

君は気づいているかな?

薫は

今でも

綾女のことを

想っているんだね。


あぁ、そうか。

なんで今でもこんな簡単なことが

わからなかったんだろう。

私の親友は

私の…






























ライバルだったんだって…

これ以上の想いは

まだ知らなくていい。

私はゆっくりと

あきかけのパンドラの箱のふたを


閉じた。