「行ってきます」
僕の大好きな彼女の声が聞こえた。
彼女との待ち合わせ場所は
彼女の家の
すぐ近くにある公園。
その公園で僕は彼女を待つ。
この時間が僕はわりと好きだ。
だって、彼女の声が微かに聞こえるから。
それってきっと彼女の自然体な姿でしょ?
僕は彼女の旋律の良い優しい声に
耳を傾ける。
彼女の姿が見えて
「おはよう、綾女ちゃん。」
そういって彼女に微笑みかける。
くるりと彼女がふりかえって
「おはよう、新一くん。」
そんな彼女が僕は世界で一番好きだ。
「ねぇ、綾女ってよんでいい?」
僕はふいにそんなことを言った。
「えっ?どうしたの、急に。」
「いや、なんとなく。
君の特別になりたいなって。」
彼女は頬を赤らめる。
「新一くんは十分私の特別だよ。」
彼女は恥ずかしそうにそう言った。
僕の心臓はまた熱をあげる。
君のそういう不意打ちなところ
やっぱりいつだって心臓によくないね。
「それに…」
「んっ?」
「私のことを綾女ちゃんって
呼んでくれるのは
新一くんだけだから
綾女ちゃんって言われると
新一くんだってすぐふりむける。
それがなんだかとっても新鮮で好きなの。」
彼女は嬉しそうに笑う。
あぁ、僕は幸せだな。
大好きな彼女の
屈託ない笑みを
こんな間近で
たくさん見られるんだから。
「でも、新一くんがそう呼びたいなら
それでもいいよ?」
彼女の優しい性格がにじみ出る。
「ううん。」
僕は首を横にふった。
「綾女ちゃんって呼べば
綾女ちゃんがふりむいてくれるなら
そっちの方がいい。」
僕は最高のスマイルを見せた。
その笑顔につられてか
彼女を最高のスマイルを見せてくれる。
綾女ちゃん
これからも僕だけに
とびっきりの笑顔を見せてね。
あのバレンタインデーとは違う。
今、彼女は僕の隣を
ちゃんと歩いてくれているから。
僕も君の歩幅にあわせて
これからもずっと一緒に
隣で
歩いていこうね。
未来に…

