あの場所とは…






やっぱりあの屋上だった。


この屋上は

私たちをたくさん繋いでくれた。

ここは私たちの原点の場所。

「綾女ちゃん、話って何?」

私は1つゆっくり深呼吸をする。



そして…

あの時と…

同じように…


















「私、新一くんのこと…






















好き。」





















そして

ゆっくりと

彼に

オレンジ色の箱を

渡した。

















あの日と違うことは

私の後ろには

味方がいるから

だから

今日は

あの時みたいに

焦らない。

彼の瞳を

真っ直ぐ

見つめることが

できる。































「僕が先に…言いたかったのに…」

彼がそう呟いた。

えっ?それって?

新一くんがゆっくり

私に近づいてきて…















チョコレートごと

私を…














ーーーーーー抱きしめた。







「新一くん?」

「先に言われちゃったね。

まぁ、バレンタインデーは

女の子からだから許すよ。」

新一くんの胸の中で

彼の心臓の音をきく。

トクトクと…

少し早い。



「綾女ちゃん。」

彼がそっと私をはなす。

そして…





























「僕も君が






















好きだ。」











愛しい人から

愛しい言葉を

愛しい日に聞けて






私は彼の胸の中で

嬉し涙を流した。



「僕の彼女になってくれる?」

私はこくりとうなずいた。








屋上の冬の風は冷たいけれど

彼の腕の温もりは

あたたかくて

私たちはしばらく

その場で

抱きあっていた。