「綾女!」

理央と話終えて

教室に戻ると

詩織が待っていた。

「どこいってたの?」

「ちょっと理央と話してきた。」

「えっ?皆藤くん?

何か言われなかった?」

「大丈夫。ちゃんと気持ち伝えられたし」

私は詩織に微笑みかける。

私の笑みを見てか

「ならよかった。」

詩織も安心したような笑みを見せる。



帰り道。

「やっぱり綾女は水崎新一が好きなの?」

「えっ?知ってたの?」

詩織に気持ちの変化は伝えてなかったのに…

「何いってんの。

私がどれだけ綾女と付き合ってきたと思ってんの?

綾女の変化なんてすぐにわかるよ。」

詩織の言葉に胸が熱くなる。

「私、最低だよね。

慎爾くん慎爾くんって

あんだけ騒いでいたのに

急に新一くんを好きになっちゃうなんて」

「そうだね。

でも、好きなもんは好き。

嘘はつけない。

愛はいつだって真実なんだから。」

大人っぽい詩織のセリフと

優しい理央のセリフが重なる。

「それで綾女は告白するの?」

「えっ?」

全く考えていなかったことに

戸惑った。

「まさか見守るだけでなんて

甘いこと考えてない?」

詩織の意地悪そうな笑みに

意表をつかれる。

「女ってね。

めんどくさい生き物なの。

見守るだけなんて

絶対ムリよ。

大好きな人の魅力に気づくたび

私のものにしたいって

欲がでちゃうんだから。」

「だからね。綾女。

あたって砕けろって

あながち間違いじゃないかもって

私、思うの。

砕けるっていうのは

いい意味でもあると思う。」

そういうと詩織は

私の背中を軽く叩いた。

「綾女。

好きならちゃんと向き合うこと。

ダメでも綾女には

味方がたくさんいるんだから。

ダメもとでいいじゃない。

トライしてみることは

悪くないと思うな。」

詩織の言葉に背中がピンと伸びる感覚がした

詩織が私に勇気をくれる。

ありがとう、詩織。

詩織は私の大切な親友だよ。

ちゃんと自分の気持ちに正直になるね。