隣のクラスだから
そんなに会う機会もなくて
でも、廊下ですれ違うと
つい目で追ってしまう。
だから彼女の周りの人間も
自然と目にはいる。
どんな人間に対しても
分け隔ててない彼女が
一人の男子を見ているのが
わかってしまうのも
ごく自然なことだった。
名前は水崎慎爾。
とられたくない。
強くそう思った。
俺は工藤綾女が好きだ。
俺の行動は捨て身の行動だったのに
工藤綾女は俺の彼女になってくれた。
誰に対しても平等な君が
特別に見ていた水崎慎爾のことを
選ばないのはなぜ?
俺の見間違いだったのか?
俺の胸のなかには
喜びと
変なざわめきが起こっていた。