新一が、部屋から出ていったのを
脳が理解すると
私は声をあげて泣いた。
さすがに私の中に
新一の前で涙を見せない理性なんて
残ってなかったけど
せめて泣いてても笑顔で見送るのが
私の最後の意地だった。
工藤綾女に会った時
なんて眩しい子なんだろうって思った。
彼女の言葉、ひとつひとつが
愛らしかった。
こんな素敵な子に
私はなんて残酷なことをしているのか
彼女を見る度に
罪悪感が募るばっかりで
もう耐えられなくて
気づいたら全てを肯定している自分がいた。
もうおしまいにしよう。
それが正しいとわかっていても
新一への愛は嘘じゃなくて
どうしたらいいかわからなくて
でも、彼が彼女を考えてることがわかったら
変に心が静かになった。
だから、私は彼に別れを告げた。
苦しくないと思っていたけど
やっぱり苦しくて
彼の匂いの残るベッドの上で
号泣した。
初めて紹介されたとき
私は恋に落ちたの。
あなたに会って
私は心の位置を知った。
あなたと生きていくことを
信じて疑わなかった。
苦しかったけど
あなたと過ごした日々は
私の永遠の宝物。
ありがとう。
そしてさよなら。
水崎新一くん。
私の最後の意地と
優しさを
うけとってくれたら
嬉しいです。

