「えっ?」
弱々しい白石さんの声が聴こえた。
その声には本当の優しさがにじみ出ていた。
「何を…言っているの?」
私は素直に答える。
「私ね、新一くんと白石さんが
この間、一緒にいるところを見ちゃったの。
それを見たとき
胸が苦しくて
気づいたら私、泣いてた。
その涙が私の気持ちを全部教えてくれた。
きづかなかったら苦しくなかっただろうけど
自分の気持ちに嘘はつけない。
嘘をつきたくないの。
ごめんなさい。
あなたのいったこと
私、守れない。
あなたに何言われてもかまわない。
だけど
この愛は本物なの。」
彼女の美しく端正な顔が酷く歪む。
「私は
水崎新一くんが好きだから。」
私の愛情は自分の気持ち。
絶対に嘘はつかないって決めたから。
だから、私は愛のためなら
なんだってしたいから。
「ごめんなさい。」
私はもう一度頭を下げた。
「そうだね。」
彼女の口から意外な言葉がこぼれた。
「えっ?」
彼女は泣きながら笑っていた。
胸がぎゅっと締め付けられる。
彼女の涙をみたら
自分の身勝手さを悔やんでしまった。
私は彼女にひどいことをいってしまった。
「新一くんをお願いします。」
彼女が呼ぶ彼の名前には
確かな深い愛を感じた。
私は最低な人間だった。
彼女の必死な思いを
逆手にとったのだ。
彼女の言葉に頷けなくて
私はまた逃げた。
私はキレイごとを並べていただけだ。
「ごめんなさい。
やっぱりあなたが幸せにしてあげて。」
「えっ?なんで…」
彼女の最後の言葉を聴かず
私はその場から走り去った。
私はまた彼を傷つけてしまうなんて知らずに…

