最近、新一くんが笑わなくなった。
「おはよう、慎爾くん。」
「…おはよう」
一言ぼそっというと
パッと身をひるがえして
自席にすわってしまう。
前はあんなに笑顔で挨拶してくれたのに…
それを思うと
キューっと胸が苦しくなる。
この気持ちが何なのか
わかりそうだけどわかりたくない
でも、もうすぐそこまで…
放課後
北河先生に頼まれて
クラスの全員分の宿題を資料室に
持っていっていた。
ふと窓をみやる。
その先には…
「えっ?」
新一くんが
可愛い女の子と歩いていた…
「なんで…」
思わずこぼれた言葉は疑問だった。
あんなに好きだっていってくれたのに…
私はいつの間にか彼の愛を信じていたんだ。
そして
私は無意識に彼の愛に答えようとしていた。
ハラっと涙がこぼれた。
あぁ、そっか。
私は…私はとっくに
慎爾くんじゃない
新一くんな新一くんが…
「好きだったんだ」
あの笑顔も
あの優しさも
無条件に私だけに与えられて
あたりまえだと思って
接してきた
でも、今
それがあたりまえじゃないことに気づいたら
こんなにも苦しくて辛い。
それが恋と呼ばざるおえないのだとしたら
私は…新一くんに
恋してることを認めざるおえない。
新一くんの笑顔が
私に幸せをくれたことが
あたりまえすぎて
気づかなかった。
彼の笑顔が彼の愛情。
新一くん…
私のことなんて忘れちゃった?
あなたの笑顔が見えないのは
苦しいよ。
気づいたらおしまいだね。
私は
宿題を濡らさないように
ぎゅっと抱き締めて
小走りに
泣きながら資料室に走った。
好き…好き…
気づいた恋心は
あまりにも苦しくて
知らなきゃよかった…
新一くんか好き。なんて…

