詩織は生徒会があるらしく

あわただしく去っていた。

詩織に話したら

少しだけ楽になった。

空っぽのお弁当箱を抱えて

教室に戻る途中

「綾女。」

後ろから声をかけられる。

「理央。」

「綾女、ごめんな

今日、弁当一緒に食べれなくて

たぶん、児玉と食べたんだよな?」

「うん。だから大丈夫だよ。」

「明日は食べれるから。」

「うん。ありがとう。」

いつも優しい理央が

どことなく真剣な表情をしていた。

「ねぇ、理央。

なんかあった?」

「えっ?」

「いつもより深刻な顔をしてる気がする。」

私がそういうと

理央は軽く笑って

またもとの表情に戻した。

「うん。

綾女に、話があるんだ。」

「えっ?」

「次の時間、話せない?

サボることになるけど…」

「…わかった…」

私が授業をサボることなんてほぼないけど

理央の真剣な顔を見て

思わずうなずいていた。