彼は何も言わないまま、本に目を落とした。


………え!?


えと、無視、ですか?



彼は何事もなかったように、本を読み進める。


私はもう一度声をかける。



「あ、あ、あの!!」


彼は本を閉じると荷物をまとめて、立ち上がった。


そして一度だけチラッと私を見て、何も言わずにお金を払って立ち去った。



私はしばらく呆然としたまま、利奈に肩をたたかれたときには、昼休みはとっくに終わっていた。