Milky Way~壁の乗り越えかた~

異変が起こったのは披露宴の終了後、控え室に向かっているときだった。

「おっと……」

控え室の敷居に雲雀先生が躓きよろめく。

「大丈夫ですか?」

「平気。ちょっと疲れが出たのかな」

雲雀先生は笑って答えたけど、直後に口とお腹を押さえてその場にしゃがみ込む。

とっさに乾君が駆け寄り、雲雀先生の背中をさする。

「ありがとう、恒河君。もう大丈夫だから……」

「大丈夫なわけあるか!」

突然乾君が出した大声に、一同呆然とする。

「とりあえず、救急車を……」

しばらくの沈黙の後、乾君のお母さんが救急車を呼ぼうと携帯電話を取り出す。

「いや、俺の車に乗せてく。そのほうが早い」

「でも、この近くの病院は……まさか、雲雀さん……」