「もしもし、義徳?」

何コールかの後、目当ての人物は電話に出た。

もしかしたら出られないかもしれないと思ったけど、それでも出るまで何度もかけ直すつもりだった。

『琴音?どうかした?』

「ええと、今から会える?」

『今から?』

「やっぱり、忙しい?」

撮影とかあるから……

『いや、今日は撮影ないから忙しくはないけど……』

「けど?」

『夜じゃだめ?ディナーご馳走するから』

「分かった。遠慮なく奢ってもらう」

『お手柔らかにね?』