秘密の特訓



次の日は、いつもより早く授業が終わって
いつもより早く音楽室に向かった。

ガラガラッッ―…!!

用意に遅れた私は勢いよくドアを開けた。


「遅い。早く始めんぞ」

既に来ていた彼に注意されましたとさ。

「ご、ごめん!!今から歌う体制に入る!!」

「んな実況良いからさっさとしろ」

実況…では無いけど、うん。

「桐谷くん今日はバイト?」

「今日は休み。つか、充で良い」

「…へ?」

「充って呼べ。呼ばねーと練習辞める」

いやいや、それは かなり困ったりする!!

「み、充…!!」

恥ずかしくなってノートで顔を隠しつつ思い切って充と呼んでみる。

ヤバい、ヤバいよヤバい。

充、なんて呼んじゃった…!!

「…ん、天」

……What?
……今、何が起こってるの!?

なに、空耳?幻聴?何なの?

い、いい今、充が私の事を"天"って呼んだ!?

ノートからヒョコっと顔を出すと充は頬を赤らめ口元を手で覆っていた。



…照れてる…?