その日の夜、家で桐谷くんから貰った楽譜…と言っても皆と練習してる楽譜と、もうひとつ。
桐谷くんが私のために作ってくれたノート。
注意や高音の出し方や合間の取り方、ハモり方など…さまざまな事が書かれたノートだ。
それを見ながら練習してるんだけど、なかなか上手くいかない。
上手くいくときもあるんだけど、失敗する事が多くなってきた。
このままじゃ、間に合わないかもしれない。
折角…桐谷くんが自分の時間を削ってでも練習に付き合ってくれてるんだから それに答えたい。
そう願っていても、裏腹に音程だけがズレて、リズムも ぐちゃぐちゃになってくる。
その時に思い出した桐谷くんの言葉。
―…『歌えなくても焦るな。ゆっくり歌えばいい。焦れば焦るほどリズムも音程も崩れる
お前は有りのままで良いから自分を信じろ。良いな?』―…

