秘密の特訓



「~~…」

「だから、そこ。音外れすぎ」

「…は、はい」

「そんなに外れるか?っつーか、やる気あんのかよ」

「あるよ!!」

やる気があってもなくても文化祭当日は二週間後だし…。

クラス一組ずつ歌を歌う。
そんなシンプルな出し物だけどやっぱり優勝したいじゃん?

そのためには私が上手くならないと。

「喉、痛めんなよ?無理に高音を出さなくていい。自分で出せるとこだけでいい」

こんな風に然り気無く優しくしてくれる桐谷くんも好きだ。

「聞いてんのかよ?」

「き、聞いてる!!」

「今日は終わり。また明日の放課後から毎日特訓だから」

「え、…」

「拒否権ねーから」

「…う、うん」