図書室で音楽の本と向き合うこと数時間。
ガラガラ―…
誰かが図書室に入ってきたらしい。
だんだん近くなる足音。
その足音は私の隣でピタリと鳴り止んだ。
ゆっくり見上げるとそこにいたのは、あの桐谷くんだった。
「…何してんの?」
「歌が上手くなる方法を…」
「読むより実戦。今から特訓してやるから音楽室来い。お前に拒否権はねーから」
かなり強引に私を音楽室へ連れて行く彼。
特訓してもらえるのは嬉しいんだけど私は桐谷くんが好きだったりする。
高校一年からずっと。
奇跡的に今回も同じクラスになれて良かったと思うけど…緊張して、余計に歌えない…。

