「み…桐谷くん、今から空いてる?」 「ん?ああ。別に良いけど、どうした?」 「良いから良いから。音楽室行こ?」 「はいはい」 最後かもしれない。 振られたら話せなくなるかもしれない。 そんな事を考えながら重い足を動かして私は必死に歩いた。 誰もいない音楽室に二人っきりで行くのは何度目だろう? 数えたことも無かったなあ。 まず、桐谷くんと二人で練習することになるなんて思ってもみなかったからね。 運命のイタズラは凄いや。 「んで、用事あんだろ?」 「あのね―」