「おい小鳥遊」
「…あ、」
小鳥遊…。
あの日みたいに"天"とは呼んでくれない。
皆がいるから?
それとも、私の最低な歌声を聞いたから?
…分かんなくなってきちゃった。
「酷いな。当日は真面目にやれよ」
「…うん」
そう言うしかなかった。
こんな気持ちのまま当日歌ったらダメになる。
この期間だけはあの会話を忘れよう。
じゃないと優勝なんて夢のまた夢。
歌うことだけに集中しろ、小鳥遊 天。
気になるなら聞けば良い。
文化祭が終わってからならいくらでも聞ける。
よし、頑張ろう。
やれは出来る、私なら出来る。

