ふと、部屋の壁際に埋まっている大量の本たちが目に入る。
哲学から始まり様々な種類の本が立ち並んでいるがどれも埃をかぶっていた。
「…ここ、掃除したりはしないんですか?」
「そんなことしねぇよ」
「えぇ…そんなことって、」
「そのままの状態であるから美しいんだろ」
「………分かりかねる美ですねそれは」
全くもって理解不能だった。
とりあえず彼の哲学はさておき、私は本当にここに何しに来たんだろう。紺さんは私をただ紹介しときたかっただけっぽいし。本人は勝手にどっかからか紅茶を出してティータイムを楽しんでるし。
…帰っていいだろうか。
「そう言えば那智、お腹空かない?」
「え?お腹?」
「うん、もうそろそろ昼時だろう?ねえ練丹、今の時代って御飯は三食なんだってね。凄いよね現代の発展って」
「(だから何時代から生きてるんだよあなたは!)」
まあ確かにお腹が減らないことはない。
「……何か食べます?」
「さすが那智!待ってました!」
最初から作らせる気だったな!
と思わず怒鳴りたくなった。

