「彼は練丹といってね、俺の古くからの知り合い」


練丹と呼ばれた金髪お兄さんの目の前のソファーで、にこにこと自己紹介を進める紺さん。

その横に座る私。



一体どんな図だこれは。




練丹さんもそう思ったのか、不服な顔をして紺さんを睨みつけている。


「なにお前人間と関わってんの?」

「あはは、自分も人間だろ?それに那智は他の人間とはちょっと違うのさ」


紺の言い方も気になったが、それよりも凄まじい眼光を飛ばしてくる練丹に那智の背は凍えていた。お前あったま悪そうだなあ、と吐き捨てる彼は実に腹立たしいが。

(初対面なのに失礼なひと、)






「……んで?今回は何の用?」

練丹が煙草の煙を口内から吐き出す。
彼が吸うのは確か数年前まで流行っていた銘柄のもの。もうほとんど街中で見かけないそれを吸う彼は相当の物好きなのか。


「んー、今日はただ、彼女を紹介しに来ただけなんだけどね」

「ついに人間喰う気になったわけか」

「…話聞いてたのかい、君。他の人間と違うって言ったばかりじゃないか」


笑えない冗談はやめてくれ。
呆れ顔で紺さんは首を横に振っているが、ほんとに笑えない冗談はやめて欲しい。ただでさえ人喰いと関わってる現実に実感が湧いていないのだから。



「お前が誰かを紹介するなんてこと滅多にねぇのに、一体何だってんだよ」


そうなの?と紺さんをチラ見したが、彼はこちらを見ないまま微笑むばかりだ。