今日は運が悪い。
どこの漫画喫茶も、インターネットカフェも満員。
「泊まる場所ないじゃん…」
ビジネスホテルは高いからなぁ…。
野宿しか無いじゃん。
近くの公園に向かい始めた時、
「おいっ!!」
「ひゃ!?」
誰かに肩をつかまれた。
後ろを振り返ると、栗色の髪の男は立っていた。
顔が、街灯の光で照らし出された。
うわ…かっこいいな
あ。この人私を誘ってるのかな?
「あのぉ…」
「中学生は家に帰れっ!!」
「へ?」
ものすごい声で怒鳴られた。
わたしを中学生って見破った人なんて、今までいなかったのに。
男は眉間にしわをよせて怒っている。
「はやく帰れ!!」
「っ!」
なんなの?この男!!偉そうな態度とっちゃって!
むかつくぅぅ~!!
「帰る場所なんて、ないよっ!」
男に言い放つと、
「え…?」
男は豹変して、顔が一気に優しくなった。
「なんか、ごめん…事情があったんだな…」
男は悲しそうな顔をしている。
あ、あれ?急にどーしたんだろう
「えーっと」
「うぉ!?もうこんな時間かよっ」
「は?」
男は何かを思い出したように、走り去っていってしまった。
「なんだったんだ…あの人」
私は、ただ呆気にとられていた。
「ぷっ」
なんか、面白い人だったな。