「君、可愛いね」
深夜2時、とあるホテル街を歩く私。
この時間帯だとすぐ声を掛けられる。
「俺と行かない?」
そう言い、男は一軒のホテルを指差す。
「…いいけど、お金」
「もちろん。ちゃんと払うよ」
そう言うと、男は私の肩を抱きホテルに向かった。
 
「名前、なんて言うの?」
ベッドに私を押し倒し、男は言った。
「サキ…」
「可愛い名前」
男はクスッと笑い、私の唇をふさいだー…
男は髪をなでかせながら
「サキちゃん…俺の彼女にならない?」
と、呟いた。
彼女…?私があんたの彼女になるの?
あんたが私の彼氏になるの?
ふざけんなよっ…
「帰る」
「え!?」
私は服を着て、バッグを持ち部屋をでた。

「はぁぁー」
路地裏に座り込み、空を見上げる。
星が輝いていて綺麗。
あの星たちはなんも汚れを背負ってないから、あんなに綺麗なんだ。
「汚れた私…はは」
朝比奈サキ 15歳。
世間で言ったら中学校3年生。
いつからこうなったのだろう…思い出したくもない。
中1のときに染めた金色の髪。
その髪をコテでしっかり巻いている。
露出の多い服。
濃いギャルメイク。
まさに遊び人。
…家にも帰ってない。
家なんて、私の居場所じゃない。
「さーてホテル飛び出しちゃったし泊まるとこでも探すか!」
そう言い、私は歩き始めた。


この時は何も思わなかった。
あなたは、あたしの星になって私の前に現れたんだ…。