透明な君


「そ…そうですかぁ」
ハァーと深い安堵のため息をだす。


何故か抱きしめてしまいたい衝動が全身を駆け巡った。


ダメダメ。
理性と本能が葛藤していた。


サツキがそんな僕の顔に首を傾げ
「どうしたの?」


うっ…
と言葉に詰まる。
まさか
今の本音を言うわけにはいかなかい。


「い…いゃ…えっと…ああれだっ!普段のサツキちゃんとなんか違うなって!なんか寝てた姿とかに執着してて…」


しどろもどろと言葉を紡ぐ。

そしてハッとする。
思わず『サツキちゃん』なんて言っちゃった…。

なんで僕はこんなバカ者なんだぁっ!


心のなかで壁に手をつけ頭をガンガンぶつける自分を想像した。