さぁ…っと
場面が一転した。


林を抜けたんだ。


一面真っ白な世界…。

雪が積もってるわけじゃない。


花が咲いている。
一面小さな花の結集。


カスミソウが
所狭しと咲いていた…。

「キレイでしょ?」


サツキが隣にいた。


「スゴい…いっぺんにこんなにたくさんのカスミソウ見たの初めてだよ…」


「あはは。カスミソウだけじゃないよ。ほら、見て」


サツキの指さす方をみると二本の木が立っていた。


微かに甘いような
なんともいえない香りが風に乗ってやってくる。


「あれって…」


オレンジ色の花を咲かせている金木犀。
真っ白い花を咲かせている銀木犀。


この香りは
あの木からか…。