透明な君



わざと冷たい視線をハルキに向けた。


「何?」


つま先で床をパタパタとせわしくたたいていた。

「何?じゃないよっ!!2人とも急に走りだしてこっちが何!?だよっ!ヒドイからっ!!」


ぜーはーいいながら
早口で文句いうハルキを無視して
ヒトミに目を向けた。


「こんなバカはやめとけ。将来ぜってー騙されて莫大な借金背負って泣き寝入りの寒ーく暗ーく掠れた人生になるぞ。」


真顔で


「賭けてもいい。やめたほうがいいぞ」


茶色がかった長めの前髪がサラリとながれた。


整った顔立ちのサトルに正面から真顔。
しかも近く同じ高さの視線。


そして
『こいつはやめろ』
と言っている。


俺にしとけ…

という言葉が
見え隠れしているようで顔が真っ赤になった…。