透明な君



「サトル…?」


「好きじゃねぇ」


「サトル…あのね」


「好きじゃねぇよ」


「聞いて、サトル…」


「好きなわけねぇだろっ」


核心をつかれてしまった子供のように
ただひたすらに否定していた。





「好きなのね…」


なんなんだよっ…お前

「好きじゃねぇって…」


「私も否定してた。
好きなわけじゃない。
違う。そんなわけない」

でもね…


「気づいたらやっぱり…好になってたの」


首に細い腕が
絡まり下に引き寄せられた。


「いくら違うって思っても…好きになってたの」

心臓の音がここちよかった。
腕の温もりが優しさを教えてくれた。


「ハルキくんが好きになってたの。曲がった精神で…」