透明な君


「そう暗い顔するな」


足元の散乱物を拾いはじめた先生にならって
僕も拾いはじめた。


カサカサという
紙の音しかしない。


なんだか余計に
切ない感じだった。
夕方だということも影響してるのかな…?


オレンジの光が僕と半壊した教室ごと包んでいた。


「驚いたか?」


「主語がないですよ。何にですか?」


「皮肉だなぁ。
…校長たちの態度にだよ」


ハッとして
顔をあげた。


「…驚きました。職員室行く時は退学を覚悟してましたから…。茶化されるとは…」


「俺も驚いた。呆れてはいたものの、怒りはしなかったから。不思議でならなかった」



あの時も
あれ?って思ったけど
場の空気に流されて
どうでもよくなってた…



ヤッパリよく考えてみると
常識では考えられないほど軽い処分…。


普通なら
どこの校長も
頭の血管がキレるほど
激怒すると思うんだけど…。