「さっき、女の子達が色々くれようとしてたのにね」
「佐野先輩!」

 香澄に続いて顔を出したのは佐野だった。
 将也の友人であり、十夜のクラスメイトでもある。
 このところ、この三人は一緒にいることが多いようだった。紗綾にとっては喜ばしいところである。
 けれども、佐野の顔色があまり良くないように見える。なぜか息を切らしている。

「何かさ、身包み剥がされそうで逃げてきたんだよ。黒羽の側にいれば安心っていうか……駆け込み寺?」
「ボタン……とかですか?」
「いや、本当に身包みって感じ。やばかった。パンツ一丁にされるんじゃないかと思ったよ」

 将也も逃げてきたと言うことなのだろうか。